高知〜後免(ごめん)〜奈半利〜室戸岬〜甲浦〜徳島(阿波踊り見物)

 高知駅から、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線」に乗る。後免駅(ごめん)からごめん・なはり線に入る。しかし、駅放送で何度も「ごめん」を連発されると、俺何か謝られるような事したっけ、という気分になってくる。(笑)しかも、後免駅で「阪神タイガース列車」を発見。トラ縞の車体に、「祝阪神タイガースV2」と書かれ、阪神ファンなら大喜びしそうである。何を隠そう、沿線の安芸市阪神タイガースの春季キャンプ場であるからである。ひとつ隣に「後免町」駅があり、別名が「ありがとう駅」らしい。そのほかにも、高知県出身のアンパンマンの作者やなせたかし氏が作ったオリジナルキャラクターが、各駅のイメージキャラクターとなり、駅名標に書かれ、しかも列車の車体にも描かれている。なかなかの工夫である。終点の奈半利駅から程なくバスに乗り換える。室戸岬で降りる。台風情報で有名である。山々がせまり、狭い平野を縫うようにバスは走っていった。足摺岬ほど観光地化されていなくて、意外とシンプルであった。太平洋の荒波が押し寄せ、岩肌を削っていくようであった。ごろごろとした岩に腰掛け、聞こえ行く潮騒の音が荒々しく、力強さを感じる。そのまましばらく波しぶきを眺めていた。おかげさまでかなり日に焼けてひりひりする。
 バスに乗り甲浦間で、そこから二駅だけ、阿佐海岸鉄道に乗る。二駅しかないローカル線であるが、車両の天井に朝顔のレプリカが張り巡らされ、窓には朝顔のレプリカとともに、俳句が書かれた短冊がかけられていた。四国のローカル線は、生き残りに必死なのか、さまざまな工夫がなされている。名は利益にしても、甲浦駅にしても、つくりが中途半端で、さらにその先の延長=室戸岬一周をもくろんでいるのだろうか。徳島県に入り、海部駅牟岐駅で乗り継ぎ、牟岐線で徳島まで、東横インにチェックインする。時折海が見える以外はなんか平凡なローカル線という感じであったが、徳島に近づくにつれてかなり混雑してきた。
 しばらく休んで、阿波踊り見物に出かける。町中のいたるところの広場、あるいは大通りを使って、演舞場が作られ、有料のものと無料のものがある。有料のものは、チケットぴあなどで指定席、自由席ともに販売されている。面倒くさかったので、無料の演舞場へ。もともとは盆踊りから発生したものらしい。「連」と呼ばれるチームを組んで、次々と踊りを披露する。演舞場は何段か臨時のいすが設置され、大通り沿いの無料のものは三段椅子であった。六時近くになると、駅前通は警察の手によって封鎖され、阿波踊りが始まる。「連」の中で一番多いパターンは、もちろん地元のものである。詳細まではよくわからないが、おそらく各地元・地域などでサークルのようなものが組まれ、この日に備えて練習しているのであろう。そのほかにも大学の連や、地元企業の連、あるいは当日近くになって、飛び入り参加の人たちを集めて、簡単に練習して本番に参加する連もあり、もちろん私服姿の人も大勢いる。四国電力、そごう、阿波銀行などの連もあった。ちなみに大学は、やはり地元の徳島大学の連が一番にぎやかであり、踊りもうまく、勢いもあった。関東からは、東京大学お茶の水女子大学東京女子大学津田塾大学で一チーム、早稲田大学・横浜国大・筑波大学東京理科大学・中央大で一チームという、不思議な組み合わせ。関西地方は、同志社大学関西大学で各一チームずつ、京都大学大阪大学神戸大学京都女子大学関西学院大学立命館大学という豪勢な組み合わせで一チームであった。熱気がむんむんする。やはり地元の連は、踊りのレベルが高い。小さい子供から、おじいちゃんおばあちゃんまで、汗をたらたらとたらしながらも必死に踊りまくる。
 演舞場での踊りが終わった連は、一部は裏通りの商店街に繰り出し、そこでも必死に、太鼓をたたき、笛を鳴らし、狂ったように踊り狂う。十一時近くまで踊り明かす。言葉ではうまく伝えられないが、ものすごい熱気である。
 地元に、こういう日本的な伝統芸能・お祭りがあるのが、凄くうらやましい、と思ってしまう一日であった。