徳島〜高松〜阿波池田(祖谷渓・大歩危峡・阿波踊り見物)

 朝の東横インは、昨日まで踊っていた人たちでにぎやかだった。チェックアウトして、駅近くのお土産やで、徳島名産のすだち関連のものを買って、高徳線に乗る。阿波池田までは、勿論徳島線で一本であるが、以前載ったことがあり、逆に(一部を除く)高徳線と、土讃線の一部に乗っていなかったため、乗っていない区間から乗っていくという方針の元、高松方面の列車に乗る。高徳線は本数こそそれなりにあるが、徳島から高松まで通しで行く列車の数が非常に少ない。時折海が見えるものの、平凡なローカル線の風景。香川県に入り、平成の大合併で誕生した「東かがわ市」と「讃岐市」を通る。なんとなく香川県の東側って印象が薄い。何を隠そう、関西空港開港=埋め立てのおかげで、大阪府に抜かれ、日本で一番狭い都道府県になった香川県。(←結構トリビア、かも) 高松で観音寺行きの快速に乗る。乗り継いで琴平に行き、土讃線の各停に乗る。列車は讃岐平野を下に四国山地を上っていく。香川県徳島県の境を越えると、列車は秘境で有名な坪尻駅へ。周囲に人家も無く、駅舎は荒れ果て、周りには車一台道路一本すら見当たらず、トンネルに挟まれ森に囲まれた、駅前に獣道があるだけの無人スイッチバック駅。そこで上り特急列車の通過待ち、というかすれ違いだけのための駅、という感じ。やがて阿波池田駅に到着。この峠越えはなかなかの絶景で、他の乗客もその壮大な景色に見とれている様子だった。おかげさまで、JR四国はこれをもって全線制覇。しょうも無いことに力を入れているものの、達成感もあって嬉しい。加えて第三セクターである土佐くろしお鉄道も全線乗ったので、更に充実感。
 阿波池田では、14日〜16日までちょうど阿波踊りの期間であった。高校野球の「池田高校」で有名な町であり、現在はここも平成の大合併により「三好市」となった。コインロッカーに荷物を置いて、祖谷そばという地元の名産、殆どそば粉を練っただけで、それを短冊状に切った手打ちそばを食べる。かずら橋行きのバスに乗る。バスは吉野川沿いの、谷を這うような国道を走っていく。かずら橋、木の蔓で作った橋が、高さ15メートルくらいの谷の上にかかっている。かつて、平家の落人がここに移り住んだときに作られたといわれている。余りにも夏休みという事もあり、家族連れが多く混んでいたので、しばらく谷底を流れる祖谷川から、橋を見上げる。川の石をつたって、川渡り。途中で、足を滑らせて川に転落、右足のみびしょびしょになる…。(涙) しかも、それを目の前で見ていた女性四人組に大笑いされる…。
 橋は一方通行。欄干に手をかけないとわたれないくらいであったが、意外と大丈夫で、橋の揺れ、高さを楽しむようにゆっくりと歩いてみる。後ろから、早く行けという罵声が。男女四人組くらい。人間、大人数になるといいたい放題になるのかな、集団心理かな。短い距離とはいえ、かなり楽しめた。とはいっても、人多すぎてで秘境というには程遠かった。帰り際で、「こてまわし」という、この地方独特のおでんを食べる。こんにゃく、豆腐に柚子味噌を塗った溝田楽のようなものであるが、豆腐がもう硬くて独特。帰りのバスに乗り、大歩危駅で降りようと思ったものの、結局大歩危峡のバス停まで乗っていく。大歩危とかいて「おおぼけ」と読む。ちなみに隣の駅は小歩危と書いて「こぼけ」と読む。「大」人も「小」人も、「歩」くと「危」ない、が由来だったかな。この辺りから土讃線を眺めると、良くぞまあこんな狭くて危険な場所に列車を通したな、と感心せざるを得ない。吉野川の急流が、独特の景色を形成している。遊覧船に乗ろうと思ったけど、温泉に入ろうと思ったけど、結局辞めて大歩危駅に戻り、そのまま阿波池田駅に戻る。
 屋根に穴が開いている目抜き通りアーケード街や、近くの駅前通、駅前の公園のステージで阿波踊りが繰り広げられる。一応、この辺りの中心の町なので、それなりに商店街もある。どうも今年は三好市誕生して初めての阿波踊り大会らしい。周辺の町から連が集まって、老いも若きも踊り狂っている。徳島のものと違って、どちらかといえば本当に地元のお祭りで、周辺の町から大勢の人たちが集まってきている。
 祭りが終わり、人影少ない阿波池田駅。0時過ぎのムーンライト高知を、待合室で待ち続ける。載ってみて、臨時列車とはいえ、泣きたくなるほど車両がぼろい。ちなみに三両編成で、一両が普通車で、後二両はグリーン車である。この車両の差がものすごい。ちなみに多度津駅で、停車はしないものの「ムーンライト松山」と連結されて、京都に向かう。相当疲れていたのか、すぐにうとうとする。