アンデス日記 5

 昼間からテレビで「横浜国際女子駅伝」を観た。普段、あまりテレビでスポーツもの観ないし、ほぼ最初から最後まで見ること自体珍しい。まあ見慣れた景色、よく車でも通った景色が続いていた。最後の日本のアンカーの中村選手の追い上げが、なかなかすごかった。優勝したロシアの選手の名前の一番最後の文字が「ワ」だったことも、不思議だった。ロシアはそういうものなのだろうか。二区を走った大崎千聖選手(三井住友海上)、あの人可愛いなあ。何でどうでもいいのですが…。大阪勤務が嫌で欝になってくる…。横浜帰りたい…。ホームシックでちょっとおかしくなりそう。。。予め期間とか決まっていたら、逆に関西生活めいいっぱい楽しんじゃおうとでも思うんだけどなあ。外国いてもあまりホームシックとかならないんだけどなあ。

2月8日(木)
 夕べかなり遅く着いて、なおかつタクシーで連れて行ってもらったので、周囲の地理があまりわからない。とりあえず、シャワー浴びようとする。部屋の中にないので、共用のシャワーを使うが、とにかくなかなかお湯が温かくならない。あまり暖まった気がしない。ちょっと歩いたところに、バスターミナルがあった。バスターミナルの周辺で、多くの旅行会社がやたらと「スクレ」行きのバスだかタクシーだかわからないが、呼び込みを行っていた。とりあえず今日一日は、ポトシの町に滞在することになると思う。翌日にスクレに向かって、スクレは空港があるのでそこからラパスに向けて飛び立つか、あるいは夜行バスでラパスに向かうか、色々と頭の中でルートを考える。ラパス行きも、シートが横に三つの豪華バスがあるようなので、それに乗れば体力の消耗が少ないように思える。
 とりあえず、自力で町の中心部に行ってみる。タクシーで行けばすぐだし楽なんだろうけど。坂の上の方が町の中心部のようである。中心部、11月10日広場を目指す。中南米の町の仕組みはわりとどこも似た様なもので、町の中心部に広場があり、それに面して教会(カテドラル)があり、碁盤目状に旧市街が広がっている。やたらと日付の名前が着いた広場が多くて、その大多数は何らかの由来がある。独立記念日とか、なんかの革命の記念日とか、そのほかもろもろ。バスに乗って、ひたすら坂道を登って、近くまでたどり着く。それにしても、街中を走るバスはやたらと日本の中古車のお下がりが多い。○○幼稚園とか、○○温泉とか車体に書かれているのが縦横無尽と走っていて、日本人からすれば楽しい光景である。きっと現地の人は、そこに書かれている文字が何を意味するのかわからないだろうけど。
 目玉である鉱山ツアーの申し込みを行う。ガイドブックによると朝に一回あるだけのようだったが、昼間の回もあるようである。14時スタートなので、少し時間がある。申し込もうとしたところ、現地通貨がないので、あわてて両替所を探す。銀行を数件回って、やっとトラベラーズチェックの両替ができた。一応米ドルの現金もあったけど。それにしても、両替一回するだけで疲れた。戻ってきたら、14時スタートのはずのツアーが12時に変更になった、今回は英語ガイドは着いてこない、ただ今日はお祭りなので、鉱山で働いている人たちは昼間からお酒を飲んでいるので、あまり働いていないとの事。色々考えた結果、明日の朝のツアーに参加することにした。
 町を歩いていると、本当にお祭りのようで、制服を着た男の子と女の子の水風船ぶつけ合い合戦のようになっていた。町のあちこちで、水風船が売られていて、道路を見ると、割れた水風船の残骸が多数転がっていた。ラテン文化独自というか…。スペインでは、トマト祭りといって、トマトを投げ合うお祭りがあるとも聞いたことがある。一応、いわゆるカルナバル(謝肉祭、ポルトガル語のカーニバルの方が有名と思われる)ではないようである。それにしても、町の男の子がやたら大きいプラスチック製のライフル銃のようなウォーターガンを抱えていて、女の子を狙い撃ちする、なかなかというか絶対に日本では考えられない光景だろう。一度、目の前で女の子が水風船を直撃するところを見た。ただ直撃して水浸しになるだけならまだしも、鼻血を出していて、流石にかわいそうだった。
 市内散策を楽しむ。11月10日広場で、特にやることもなく一時間くらいボーっと座って、町の様子を眺めてみたり。それにしてもボリビアは、中南米諸国の中でも先住民人口比率の高い国である、とつくづく感じる。あまり白人っぽい人を見かけない。かくいう私も、ここ数日の強烈な日差しで、かなり顔が焼けて、現地の人のような風貌になってきている。高山病対策はしっかりしたつもりが、日焼け対策はあまりやってこなかったのは失敗だった。少しくらい焼けている方がいけているかなとも思えたが、かといってここまで焼けるとちょっと心配である。宿のおじさんにも心配された。
 ラ・コンパーニャの塔に登る。町の四方を見渡せる。遠くにコペラティベ鉱山が見える。赤茶色の屋根をした建物が多い。そのほか、さまざまな教会を見て回る。近くの市場にも行く。モツ肉のようなものをジャガイモなどと煮込んだものがおいしそうだったので、食べてみた。それにしても、いきなりフォークもスプーンもなく、手で食べろといわれたのには驚いた。これが意外とおいしかった。
 やがて日が暮れる。石畳の道に、金色や銀色の街灯が灯り、幻想的な光景である。流石に世界遺産に指定された町並みである。近くのレストランで夕食を取る。基本的に旅行中はアルコールは控えていたのだが、この日ばかりはと気も緩めて、「チュフライ」というカクテルを頼む。ボリビア特有のぶどう酒「シンガニ」というスピリッツを、セブンアップやスプライトで割った甘口のカクテルである。甘くて飲みやすかったが、意外と強い。というよりは、標高が高いからだろうか、やたらと回るのが早い。やたらとふらふらする。こんなにお酒弱かったっけと。こういう肝心なときに限って、宿に帰ろうともタクシーがつかまらない。とにかく気分が悪い。早く帰りたい。ようやくタクシーを捕まえて、宿でもらった名刺を頼りにおくってもらう。ベッドに横になるが、頭ががんがんする。油断大敵。思わぬ不覚である。頭が痛いし、気分は悪いし…。