福井の旅 越美北線・一乗谷

miyatan2007-08-26

 旅に出よう、と思った瞬間に旅に出ている。日帰りだけど。
 大阪駅発7:45の湖西レジャー号新快速敦賀行きに乗る。同じ列車に三月頃に乗ったんだけど、終点の敦賀までラッシュアワー並に混んでいた。今回も混んでいたけど、それでも運良く京都駅で座れた。そのまま敦賀まで寝ている。ちなみに湖西線は、琵琶湖の西岸をひたすら通るんだけど、時折琵琶湖が見えて景色がいい。逆に東海道線琵琶湖線)は名前に反して、琵琶湖は殆ど望めない。敦賀駅北陸本線に乗り換え、福井駅に10:48に到着。次の乗換えまでしばらく時間があったので、福井市内を散策。とはいっても、福井市街地は、それほど見所も無いんだけど。駅は最近高架化されたらしく、新しい。北陸新幹線の、福井駅の用地が確保されていた。今の長野新幹線が延長された北陸新幹線となり、福井まで行き、敦賀までは行くようであるが、そこから関西方面へのルートは決定されていないらしい。本当に採算が取れるのか、疑問である。北陸は自民党の有力な政治家が多い、というよくわからない理由で建設が促進されているらしい。とりあえず、路面電車が通っていて、西武百貨店があった。県庁所在地なりに、それなりに都会、でも大都会という感じではなかった。ソースカツどんと越前おろし蕎麦が名物、らしい。初めて知ったけど。福井城の跡地、堀に囲まれていた一体がそのまま福井県庁になっている。かつては北ノ庄城と呼ばれ、柴田勝家の居城であったが、江戸時代に入り徳川家康の次男、結城秀康が初代福井藩主となり、親藩大名としてそのまま幕末を迎える。
 12:49福井駅発の越美北線九頭竜線)に乗る。一両編成のディーゼルカーにもかかわらず、かなり混雑していた。運良く座れたけど。越美北線というからには、越美南線も確かに存在した。本来であれば北線と南線が全通して、越美線となる計画だったのであろうが、その計画は残念ながら頓挫した。今はかつての国鉄越美南線は第3セクター長良川鉄道となって、郡上八幡辺りを走っている。越美北線は始発の福井駅と、途中駅の越前大野駅を除いて、すべてが無人駅というローカルぶり。数年前の豪雨で橋梁が流され、一部の区間が長らく不通であったが、今年になってから復旧した。とりあえず、終点の九頭竜湖駅まで行ってみる。九頭竜湖というダムと発電所があるらしい。駅前にはどういうわけか、恐竜が飾ってあった。折り返し列車の発車時間まであまりなく、すぐに乗る。一時間ほど揺られ、今回の目的地である「一乗谷駅」で下車。
 一乗谷は、かつて戦国時代に朝倉氏が本拠地とした場所である。一乗谷川に沿ったわずかな谷間の平地に朝倉氏の時代の以降が発掘されている。本当にこんなところに、一大文化圏が築かれていたとは思えないような場所である。戦国時代だからこそ、守るのに適した川沿いの狭い土地を選んだといわれている。一乗谷自体は、朝倉氏滅亡の時に焼き払われ、その後越前の国の中心は福井城となったので、一乗谷は遺構がそのまま土に埋もれてしまった。逆に戦国時代以降埋もれていたからこそ、戦国大名の屋敷などの遺構がはっきりと残っているともいえる。一乗谷駅で降りたはいいものの、観光地化もされていないので、かなり迷う。とりあえず駅の近くのある博物館に行く。そこでもらった資料を頼りに、一乗谷の遺跡に向かう。一部は戦国時代の街並みがそのまま復元されていた。朝倉義景の館跡や庭園跡などが残り、その横の広場では朝倉祭というお祭りが開催されていて、ラジオの公開録画もされていた。
 百年近く越前国の大名として栄華を誇った朝倉氏。室町幕府の最後の将軍となった足利義昭も、朝倉氏を頼って上洛を試みたが、結局朝倉義景を見限って織田信長を頼って、上洛を果たした。その後織田信長と敵対す。信長と同盟を結んでいた北近江の大名浅井長政をかつてのよしみから味方につけて、浅井・朝倉連合軍として姉川織田信長軍と戦うが、結局敗れる。その後家臣にも見限られ、一乗谷は焼き払われ、逃れた先でいとこに当たる朝倉景鏡に裏切られ、自刃して果てる。
 中日ドラゴンズ朝倉健太選手が、越前朝倉氏の末裔らしい、といわれているけど、真実はわかりません。
 この一連の流れの中で、信長の妹「お市の方」も忘れてはいけない人物である。上洛を有利にするために、浅井長政のもとに政略結婚として嫁に行かされる。当時は、自由恋愛も何も無く、政略結婚が多かった。浅井長政が滅ぼされたときには、三人の娘と共に信長に引き取られる。その後信長の家臣であった柴田勝家と再婚。羽柴秀吉との後継者合戦である賤ヶ岳の戦い柴田勝家が敗れ、北ノ庄城で自刃して果てると、お市の方も後を追って自刃して果てる。余りにも悲劇の人物である。ちなみに、長政との間の娘の淀君は秀吉の妻となり豊臣秀頼を生み、のちに大阪夏の陣豊臣氏が滅亡すると、自刃して果てる。こちらも悲劇の女性である。


 …なんか自分で書いた文章を改めて読み返すと、かなりオタクな気がしてきた…。まあ、そんなこんなで楽しい一日だった。