北京旅行 中編

miyatan2008-10-16

 本日労働組合の秋季集会。この日は途中の時間で業務が強制終了なので、早く帰れて嬉しい。期末試験が午前中に終わって、早く家に帰れるような気分。

7月24日(木)
 前日にホテルのフロントで申し込んでおいた、万里の長城・明十三陵のツアーに参加する。日本語ツアーはあるけど、一万円近くかかるので却下。どっかのバスターミナルで、中国人用のツアーがあって、これは安いらしいけど、中国語しか通じないのでこちらも却下。

 とりあえず、言われた通りにホテルの目の前辺りで待つ。案の定、時間になっても誰も現れず、不安になる。もうしばらく待つと、おじさんが現れる。でも、中国語しか話せないので、更に不安になる。そうすると悟ったのか、ケータイでホテルのフロントに電話したらしく、電話代われといわれる。変わったら、ホテルのフロントの人が英語でこのバスに乗れ、というので乗る事にする。

 大きい観光バス。とにかく、北京市内をあちこち回って、ホテルで人を沢山拾う。英語のツアーのはずなのに、中国人ばかり集められて、本当にこのバスでいいのか不安になる。一時間近くあちこちぐるぐる回っていると、いきなりここで降りろといわれる。言われるままに降りて、誘導されるまでに小型のバスに乗り換える。こちらはどう見ても外国人ばかりのバスで、ガイドの中国人女性は英語を話せた。このバスに乗っていくらしい。メキシコ人、オランダ人、韓国人、インターナショナルな顔ぶれである。とはいっても単独参加者は自分ひとり。ちょっと疎外感も覚える。

 北京の郊外へと一時間近くバスは走り、明十三陵へと到着。明朝16皇帝のうち、13人のお墓がこの一帯に並んでいるらしい。バスの窓から少し見えた。一番大きい長陵を見学。お墓、というよりはお寺のようにも、中国式宮殿のようにも見える。まあ、日本の建築も、どこか中国の建築様式の影響を受けているのでしょう。建物の中は、出土品が展示されている博物館になっていた。

 さすが格安ツアーというか、陵を出発した後で「お土産屋」に連れて行かれる。翡翠製品の工房。翡翠って緑色。個人的には好きな色なので、見ているだけで癒される。別に買わなくちゃいけないこともないけど、バスの中に待機しているのは禁止で、時間内は必ずお店の中に滞在しなければいけないらしい。モノはいいんだろうけど、あまり買う気もしなかった。

 中国式の漢方のお店(?)に連れてかれる。どういうわけか、全員強制的に健康診断を受けさせられる。舌を出すように指示され、体の一部を触るだけで、医者は健康状態がわかるらしい。医者は中国語しか話せないので、アシスタントの女性が流暢に英語で症状を伝える。どうも、胃が悪いらしい、と言われた。まあ、どことなくそういう気もするけど。薬を買うように勧められたが、なんか思う壺のような気がしたので、特に買わなかった。隣接する食堂で昼食。テーブルごとのビュッフェ形式。正直、期待していたほど美味しくはなかった。

 いよいよお待ちかねの万里の長城八達嶺長城(Badaling)という一番メジャーな所へ。入り口に動物園があり、熊が飼われている。すごく観光地化されている。しかも夏休み期間とあって、異常に混雑していた。途中まではジェットコースターに乗っていく。勿論ジェットコースターとはいっても猛スピードで飛ばすわけも泣く、ガタコトガタコトと傾斜を登っていくだけ。

 噂には聞いていたけど、想像を絶する景色の美しさ。かつて紀元前、秦の始皇帝の時代に、北方からの民族の侵入を防ぐために大規模な工事が行われた。中国全土から農夫が動員され、召集されて遅刻すると死刑にされたとか。この大工事が、秦の衰退を早めたとも言われる。日本に稲作が始まったくらいの時代に、これだけの大規模な事業が行われていたと考えると、すごいと思う。今の長城は、明の時代に作られたものがメインらしい。歴代の皇帝も中国大陸を統一した後も、常に北方民族の脅威に晒されていた。元々険しい山谷とはいえ、どこまで効果があったのかなあ、とも思う。宇宙から確認できる唯一の人類の建造物でもあり、皮肉な言い方をすれば世界一無駄な公共工事だったのかもしれない。

 世界遺産への落書きがマスコミを騒がせているご時世であるが、万里の長城の瓦にも結構人の名前が中国語で書かれていた。ただこれは、その時代の人達が自ら名前を刻んだのかもしれない。心無い落書きなのか、歴史の証人なのかは、判断がつかなかった。勿論、バリアフリーなど全く考慮されていない構造。そりゃまあ観光地とではなく、防衛上の拠点として整備されたんだし。ところどころに砦もある。本当に人が多くて大渋滞で、すれ違うだけでも大変だった。そして階段も急坂も険しい。それでも一番上から見下ろす頂上は、本当地平線の彼方まで続いているかのようであった。見渡す限りの山々、そしてそれに沿って広がる長城。北京市内の空気が澱んでいるので、帰ってここの空気は心地よかった。

 一度行きたかった場所に念願かなっていけて大満足の一日。

(後編へ続く)