北海道旅行 2

miyatan2009-08-22

8月9日(日)
 札幌の朝はすがすがしかった。のんびりと札幌駅に向けて歩いていく。途中の大通公園で少し休憩。

 今回の旅では、北海道東日本パスという、JR北海道と東日本、第三セクターと一部の私鉄の普通列車乗り放題の切符を利用。5日間「連続」で、10000円。青春18切符よりは少し安いが、5日連続利用、という拘束もつく。

 新千歳空港行きの快速列車に乗る。結構混んでいる。途中の千歳駅で下車。千歳駅10:42発の新夕張行きに乗り換える。こちらは一両編成ののんびりしたローカル線。先ほどまでの混雑が嘘のようにガラガラである。南千歳から石勝線に入る。新夕張にて夕張支線に乗り換え、12:22に夕張駅着。

 夕張駅無人駅ながらも、三角駅の洒落た駅舎である。一時期は、夕張市財政破綻のためにトイレの使用停止の話もあったが、今では普通に利用できた。駅には、できたばかりのイタリアンレストランが同居していて、隣接地には屋台村が建設中だった。


 無人駅とは対照的に、立派なリゾートホテル「マウントレースイ」が駅前に立ち誇る。丁度、夕張メロン食べ放題つきのランチバイキングをやっていたので、お昼時だったので入る。2100円。比較的リーズナブルである。


 かなりの家族連れで賑わっていた。夕張メロンのコーナーにウェイトレスがメロンを置くと、小さな子供たちを中心に群がり、あっという間に夕張メロンがなくなる。さすがに、甘くて美味しかった。一度腹いっぱい食べてみたかったので、幸せな気分。20切れ以上は食べたと思う。あとは、カレーのジャガイモが、甘くて美味しかった。ジャガイモが甘い、と感じた事も初めてである。

 マウントレースイに荷物を預け、自転車を借りる。とにかくひたすら坂道を登るので、疲れたけど、食後の運動には丁度良かった。途中で、キネマ通りといって、やたらと古い映画の看板が立っている場所があって、興味深かった。とはいっても、実際に見たことのある映画は殆ど無かった。せいぜい「誰が為に鐘が鳴る」くらい。

 芸能人の田中義剛がやっている「花畑牧場」の夕張工場があった。かつては別の施設であったが、買い取って改築したみたいである。今話題の生キャラメルの製造工程が見学できるようになっていた。あえて雇用を確保するためにも、時代の流れに逆らって、手作業の工程が殆ど。ものすごい数の年配の方々が、従事されていた。都内のお店は大行列ができているようだが、こちらはそれなりに賑わってはいたが、大行列というほどまでは無かった。


 坂をひたすら上り、「めろん城」へ。どんな施設か知らずに、名前に惹かれていったけど、要するにメロンリキュールの工場。日曜ということもあり、工場は稼動していなかった。製造工程のビデオが上映されていた。世界で唯一のメロンリキュール製造工場だとか。

 最後に「石炭の歴史村」へ行く。入場料が1200円とべらぼうに高かった。かつての夕張炭鉱を利用した博物館で、非常に興味深い。隣接して大規模な遊園地もあったが、殆どの施設が解体されていた。夕張市財政破綻の、負の遺産でもある。石炭産業から観光産業へ、転換を目指して大規模な投資をしたものの、財政破綻して市民の日常生活にまで悪影響を与えてしまったことが報道されたのは記憶に新しい。

 まあ、交通の便はものすごい悪いわけでもなく、元炭鉱、夕張メロンの産地、という強みもあったが、あまりにも需要を無視した大規模投資をしたのは、かなりまずかったのだろう。なんでもかんでも、遊園地とか作れば言い訳でもないと思う、遊具の維持費もかなりかかるだろうし。

 個人的には、こういう産業の歴史には非常に興味があったので、興味深かった。石炭ができる工程から、石炭産業の黎明期、石炭産業の最盛期の頃の鉱夫達の生活ぶり、炭鉱事故、閉鉱までの様子が展示されていて、なおかつかつての炭鉱も見学できて、色々と学べた。


 数年前に、釧路市にあった日本で最後の炭鉱が閉山になり、日本の産業からは石炭が消えた。まだ取ろうと思えば取れるが、エネルギーの転換もあり、海外からの輸入量も増加し、そもそも典型的な3K労働であった石炭産業は、日本から消えていった。常に命の危険と隣り合わせの仕事、でもある。

 最盛期は13万人いた夕張市の人口も、今ではたったの11000人程度。全国で三番目に人口が少ない市でもあり、日本で一番人口密度が低い市でもある。

 夕張駅に戻り、沼ノ沢駅まで行く。こちらの駅舎には、レストランが同居していた。予約してあった夕張フォレストユースホステルの送迎の人が迎えに来てくれた。今回の旅は、札幌以外の宿泊地では、全部最寄り駅までの送迎を頼んである。

 夕張YHは森の中の一軒家、という感じのユースで、比較的新しく、木造の洒落た感じの建物である。周りを森に囲まれていて、静かである。敷地内には畑があり、そこで取れた野菜や、夕張メロンが夕食に振舞われた。

 玄関口には、数多くのバイクが並んでいる。この時期の北海道一人旅は、殆どがバイクの人が多い。ナンバーを見ると、関東や関西だけではなく、九州からも。

 静かな夜。時折聞こえる列車の音が、気持ちよくもあった。